読み聞かせ草子(12)2008年06月18日 16時26分56秒

シビル・ウェッタシンハの絵本をもう1冊紹介しましょう。

『かさどろぼう』 シビル・ウェッタシンハ作、ベネッセ(現在は徳間書店から出版)

村ではまだ誰も「傘」を知りません。雨が降ればバナナの葉や布をかぶります。キリ・ママおじさんは町へ出かけて、初めて傘という物を知り、喜んで買って帰りました。
ところが、帰ってきてバス停の傍の茶店でコーヒーを飲んでいる間に傘がなくなってしまいます。どうしても皆に傘を見せびらかしたいおじさんは、何度も町へ傘を買いに行きますが、その度に盗られてしまいます。
おじさんは一計を案じて、傘に細かく切った紙を詰めておきました。

泥棒は誰で、取られたたくさんの傘はどうしたか、楽しくてうふふとなる絵本なのですが、公民館の読み聞かせで泣かれてしまったことがあります。
その時もお客さんはほとんどいなかったと思います。「かさどろぼう」を読み始めてわりとすぐ、男の子が「こわい」といってお母さんにしがみついてしまいました。お母さんの方が驚いてしまって、一生懸命なだめていました。
幼稚園の年少さんくらいかな、その子にとっては、この絵がとてつもなく怖かったんでしょう。家の子は大好きなのに、感じ方がずいぶん違うものです。
そういえば、別の作家(日本人)の作品でやはり家の子が好きな絵を、
「この絵は私にはダメ」と言った人がいましたっけ。その人は大人でしたが。
本当に好みは人それぞれです。