ある1年1組の読み聞かせの記録(33)2007年04月07日 08時19分02秒

新年になり、3学期が始まりました。まだお正月気分が残っているので、それらしい本を選んでいます。

「十二支のお節料理」 川端誠 作、 BL出版
「まめとすみとわら」 つるた ようこ 再話・絵、 アスラン書房

「十二支のお節料理」は、暮れに十二支達が役割分担してお正月の用意をしていくというお話です。誰がどんな事が得意で何を任されるのかな、なんて思いながら楽しんで、着飾って揃う場面で晴れやかな気持ちになれます。
十二支のことは意外と知らない子が多かったですね。1年生だと表紙の絵(全員載ってます)を順に指差して行くと答えてくれます。今年はなに年かというのは訳がわからなくても言えてました。

「まめとすみとわら」は、豆に黒い筋があるのはなぜかという昔話。同じような絵本は他にもあると思いますが、私はこれが気に入っています。
豆と炭と藁がお伊勢参りに出かけますが、途中に橋の無い川がありました。藁が自分が橋になると言ってくれて、まず炭がその上を渡ります。ところが炭には火種が残っていたので藁が燃え出して、二人は流れて行ってしまいます。仲間が流されているのに豆は大笑い…。

私は得意で無いので昔話の絵本をあまり使わないのですが、民話や昔話はどれも惹きつける力がありますね。これも「おいせまいり」なんてわからない言葉があってもとにかく聞いているし、薄情な豆に本気で怒ってくれるし。
画像は、「まめとすみとわら」の一場面、お茶屋さんに寄って団子で一服しているところです。本からではなく、絵葉書から取りました。

ある1年1組の読み聞かせの記録(34)2007年04月09日 13時50分46秒

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「げんきなマドレーヌ」 ルドウィヒ・ベーメルマンス 作、福音館書店
「ちいさなちいさな駅長さんの話」 いぬいとみこ 文、 津田櫓冬 絵、 新日本出版社

前々々回まだ読んでなかった事に気がついて、「げんきなマドレーヌ」を入れてみました。パリのお屋敷に先生と暮らす12人の女の子、一番ちびちゃんのマドレーヌはとても元気で勇敢です。ところがある夜、マドレーヌが泣き出したのでお医者さんが呼ばれました。たいへん、盲腸炎ですって。
テレビでの放映もあったらしく、親しみを持ってもらえるマドレーヌです。一つだけ問題があるとすれば、22ページ、「手術」という単語が出てくるんです。「しゅじゅつ」これをちゃんといえるかどうか、読み聞かせる度にどきどきです(笑)。

「ちいさなちいさな駅長さんの話」は、繰り返しが心地よい、穏やかな気持ちになれる絵本です。昔、教育テレビを見ていたときにこの本の朗読があり、その時の調子がとても気に入ったので、真似しているつもりです。「ちいさなちいさな」と重なっている言葉に抑揚をつけて、初めと2番目でちょっと変えてます。読む人それぞれで工夫してみてください。
ちいさなちいさな駅のちいさなちいさな駅長さんと、ちいさなちいさな男の子との触れ合いに嬉しくなります。
最後のページ、「あなたも(中略)ちいさなちいさな駅へ、いってみたいとおもいませんか。」と読んだとたんに「はいっ!」って元気良く返事してくれた子がいました。

ある1年1組の読み聞かせの記録(35)2007年04月10日 16時29分28秒

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「ハリーのセーター」 ジーン・ジオン 文、マーガレット・ブロイ・グレアム 絵、 福音館書店
「ねむいねむいねずみのあまやどり」 佐々木マキ 作、PHP研究所

「ハリーのセーター」は冬になると必ず読み聞かせに使います。犬のハリーは薔薇模様のセーターをプレゼントされますが、嫌で嫌でしょうがありません。出かけた先でこっそり捨てようとしますが上手くいきません。すると一羽の小鳥が…。
前半は、自分の嫌いな服を無理やり着せられた子どもの頃の気持ちがなんとなく蘇ってきちゃいます。それが上手く解決する後半、そして新しいプレゼントの柄がなんたって素敵。
このシリーズは、先に読んだ「どろんこハリー」「うみべのハリー」のほかに、別の出版社からもう1冊でています(「ハリーのだいかつやく」ペンギン社、少し小さい版で、お話は長くなっています。絵本ですが、お話の本として楽しんだ方がいいかもしれません)。

「ねむいねむいねずみのあまやどり」は、いつも眠そうな半開きの目をしたネズミが主人公です。旅の途中で色々な出来事にあうのですが、シリーズの中ではこの「あまやどり」を読み聞かせに使うことが多いです。ちょっと不思議な出来事が起こる、その加減がちょうどいいからかしら。
他の「ねむいねむいねずみ」シリーズも是非読んでみてください。

ある1年1組の読み聞かせの記録(36)2007年04月11日 14時28分53秒

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「はじめてのおつかい」 筒井頼子 文、 林明子 絵、福音館書店
「ほね」 堀内誠一 作、 福音館書店

みいちゃんが「はじめてのおつかい」をします。近くの商店で牛乳を買ってくるだけですが、それはそれはどきどきの連続で、子ども達もみいちゃんに成りきって聞いています。
一人で読み聞かせの練習をする時、「ぎゅうにゅう くださあい!」を特に大きな声で言えるように繰り返すのですが、なかなか上手くいきません。みいちゃんの気持ちがよくわかります。
ところで、みいちゃんの苗字はなんだか知っていますか?答えは4ページの表札に書いてあります。他のページの掲示板や電柱の広告と同じく、ちょっとした遊び心ですね。

「ほね」は、かがくのとも傑作集の1冊です。これまでもよく「かがくのとも」は使ってきましたし、何を読もうか迷った時にとても助けになるシリーズです。
骨が無かったらどうなるの?骨の働きが良くわかりますし、次々に現れる骨の絵にとっても引き付けられます。この骨は何の動物だろうって考えるのも楽しい!

ある1年1組の読み聞かせの記録(37)2007年04月12日 13時26分54秒

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「ねずみのおいしゃさま」 中川正文 文、 山脇百合子 絵、福音館書店
「アンディとらいおん」 ジェームズ・ドーハーティ 作、 福音館書店

「ねずみのおいしゃさま」は、雪の中をリスの家まで往診に出かけます。ところが大雪で途中で進めなくなり、冬眠中のお家へ避難。翌朝着いた時にはリスの子の病気はよくなってるし、今度は自分が風邪をひいてしまいます。

「アンディとらいおん」は見るからに古めかしい絵本なのですけれど、けっこう聞いてくれます。やはり絵に迫力や動きがあるからなのでしょう。このクラスではないですが、学校行くのに教科書が少ししかない、というのを大きな声で指摘してくれた子もいましたが、文化の違いってことで。
アンディは学校へ行く途中ライオンに出会って、その足に刺さっているとげを抜いてやります。しばらくしてサーカスを見に行った時、アンディの前にライオンが飛び出してきて大騒ぎになりますが…。
誰もが好きになる絵本ではないですが、クラスで一人くらい、男の子が妙に気に入っちゃったりして、後で本棚から取り出して読んでたりします。
個人的にこの本の好きなところは、アンディが最初に図書館に本を借りに行き、最後に返しに行くという所(見るからにど田舎なのに、子どもが自分で歩いていける距離に図書館がちゃんとあるんだから、アメリカって偉い)。それと、献辞がささげられているのがニューヨーク公共図書館前のライオン達である点です。

ある1年1組の読み聞かせの記録(38)2007年04月13日 15時40分25秒

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「これはおひさま」 谷川俊太郎 文、大橋歩 絵、福音館書店
「ペレのあたらしいふく」 エルサ・ベスコフ 作、福音館書店

「これはおひさま」は、積み重ね言葉になっています。とにかく楽しんで読み聞かせができますので、是非暗記して本文を見ないでどんどんページをめくっていけるようにしましょう。
私も必死で練習しました。で、記憶力が弱まっている大人の私は、ひたすら最初のページから積み重ねて覚えていきました。当然誰もがそうすると思うのですが、当時幼児だった娘は全く違いました。例えば中ほどのパンを食べる絵をぱっと見て「これはおひさまのしたのむぎばたけでとれたこむぎをこなにしたこむぎこをこねてやいたパンをたべるあっちゃん」とすらすら言えるのです。ところが、最初の方の「これはおひさまのしたのむぎばたけでとれたこむぎ」というページを開いても言葉が全く出てこないのです。幼い子の頭の構造は神秘だ、と感心したしだいです。

「ペレのあたらしいふく」も読み聞かせに向く絵本です。ペレが自分の服を手に入れるためにまず羊の毛を刈ります。毛を梳いてもらったり紡いでもらったり、いろんな人に頼みます。お願いする代わりに、自分にできるお手伝いをしていきます。畑の草取りだったり、妹の面倒を見ることだったり。
大きな出来事が起こるわけではありませんが、読み終わった後によかったねと思えるのです。