ある2年1組の読み聞かせの記録(6)2007年07月01日 14時14分11秒

もう暑くなっているのだということが、選んだ本からわかります。

「ほたるホテル    やなぎむらのおはなし」
        カズコ・G・ストーン 作  福音館書店

1年生の時に読んだ「サラダとまほうのおみせ」と同じ「やなぎむらのおはなし」シリーズの1冊。今年も夏が来たなあという頃にぴったりです。
夏季限定のほたるホテルが開業するのですが、草で編んだいろんなベッドができて、それを見ているだけでも楽しくなります。電飾の看板もすてきです。いろんなお客さんたちがやってきて、中にはちょっと敬遠され気味の虫さんもいます。そこへ乱暴なカエルがやってきてさあたいへん!

「やなぎむらのおはなし」は今のところ4冊、こどものとも傑作集として出ています。その後も「こどものとも」で新しく発表されているようです。他に、「しげみ村」や「しのだけ村」もあります。
このクラスでは、「やなぎむら」シリーズの全部は読まなかったので、残りの2冊も紹介しておきます。
「きんいろあらし」これは秋、台風の季節に読む場合が多いです。嵐が来るというので、やなぎむらのみんなは飛ばされないように工夫しますが…。
「ふわふわふとん」こちらは冬ですね。寒くなる前に暖かい布団になる物を探しに出かけます。上手く見つかりますが、一生懸命引っ張って帰る途中で雪が降り出してしまいます。

「サラダとまほうのおみせ」を読んだりすると、やなぎむらのシリーズが置いてある本棚で他を見つけて読み出すことも多いですが、発見したこと自体が嬉しくて担任の先生に報告したりします。中にはそのまま私の方に来て、「これもあったよ」と教えてくれます。私はにっこり笑いかけ「冬になったら読み聞かせしようと思ってたのよ」などと答えます。するとまた担任の先生のところへ戻り、「図書の先生、知ってた!」「ほらね、やっぱり知ってたでしょ」というようなやりとりが聞こえてきます。低学年には、小さな発見がいっぱいです。

ある2年1組の読み聞かせの記録(7)2007年07月02日 17時33分41秒

次に行きます。

「きょうはなんのひ?」 瀬田貞二 文、 林明子 絵、 福音館書店

お手紙が家の中のいろいろな場所に隠してあります。次はどこに隠してあるか書かれたヒントをもとにお母さんが一生懸命探し回るのと一緒に、こちらもわくわくどきどき。最後の手紙と一緒に両親へのプレゼントがありました。こんな所に隠してあるという楽しさもありますし、最後に手紙を並べてみた時も納得。さて、今日は何の日だったのでしょう。

この絵本は、実際に瀬田貞二さんのお家であった事をもとにしてできたのだそうです。そして、この絵本を読むと、誰だってこのお手紙ごっこをしたくなります!我が家でも子どが小さかった時実際にやりました。わかりやすかったから、私はすぐに見つけてしまいました。

ある2年1組の読み聞かせの記録(8)2007年07月03日 10時08分39秒

2年生になると絵本ではない本をちょこちょこ選んでいます。
出版社によって、幼年童話と言ったり物語絵本と言ったりいろいろですが、とにかくそんな1冊。

「びいだまたまごだ うっふっふ」 宇野克彦 作、 黒井健 絵、文研出版

こぶたが森の中でビー玉を拾うのですが、ブタの卵だと言われて一生懸命あたためて孵そうとします。いろんな動物がそれを見てばかにするのですが…。

ビー玉という子ども達が大好きなアイテムが出てきますし、どうなっちゃうんだろう、ちょっとドキドキしながら引き付けられてしまいます。
ほとんどのページに絵があるので、絵本と同じように読み聞かせします。黒井健さんの絵もほんわかしていて良いですね。

ある2年1組の読み聞かせの記録(9)2007年07月04日 14時09分24秒

これも分類するならば幼年童話に入るのでしょうけれど、私は限りなく絵本に近いと思ってます。

「はじめてのキャンプ」  林明子 作、 福音館書店

なほちゃんは初めてキャンプに参加します。大きい子たちは「小さい子はすぐなくし」等と反対しますが、がんばるからと入れてもらいます。
荷物が重くて歩くのが遅くなったりしたけれど、薪を探すのに活躍したり、楽しくキャンプファイアーや花火をします。テントの中で寝る前に、大きい子たちのリクエストに応えておばさんがちょっと怖いお話をしました。
すっかり怖くなったなほちゃん、夜中に一人でおしっこに行けるでしょうか。

すべての場面に絵があるので、普通に読み聞かせします。本がそれほど大きくないので見えにくい場合もあるかもしれません。
読み聞かせのボランティアさんが読んだリストをみると、15分間にこの本の他に絵本2冊も読んでる人がいたりしました。私は、もっとじっくりゆっくり読んだ方が「はじめてのキャンプ」のドキドキや、やり遂げたという達成感がじんわり伝わって来るのではないかと思います。

ある2年1組の読み聞かせの記録(10)2007年07月10日 13時37分20秒

今日は絶対に笑いをとりたい、そんな日の読み聞かせに使うのがこれです。

「ものぐさトミー」  ペーン・デュボア 作  岩波書店

「岩波の子どもの本」シリーズの中の1冊です。
トミー・ナマケンボは電気仕掛けの家に住んでいます。ベッドから起きるのも、お風呂に入るのも、服を着替えるのも全部機械がやってくれます。ご飯も食べさせてくれます。
ある日、送電線が切れて全自動の家は機能しなくなります。トミーもさるもの、起こしてもらえないのなら頑として起きません。1週間ぶりに電気が来ると、またベッドが動き出していつもと同じ生活が始まる…はずだったのですが!風呂は温まってないわ、食料は1週間分まとめてでてくるわ、もうめちゃくちゃです。
爆笑場面の連続に、普段あまり表情を変えないタイプの担任の先生も堪えきれずにふきだします。

ずいぶん前ですがこの本をとっても気に入った子がいて、休み時間に本棚の前で開いてはケタケタ笑っていました。ある日、学級の読書の時間にもこの本を選んだものですから、図書室じゅうに響き渡る笑い声に担任の先生も困ってしまって、一人だけ離れた所へ移さなければならなかった時がありました。これくらい気に入ってもらえれば本も本望でしょう。

そうそう、トミーは普段着としてセーラー服を着ているのですが、読み聞かせていると「男なのにセーラー服着てる」なんていうひそひそ声が時々聞こえてきました。最近は、幼い男の子でもめったにセーラー服を着なくなりましたものね。基本的に男の子の服なんですけれどねえ。

さて、ひどい目にあったトミーが心を入れ替えるという決心をするところでお話は終わっています。皆さん、本当にこの後新たな暮らし方を始めたと思いますか?ものぐさはそう簡単には直らないと、元祖ものぐさの私は思っています。

ある2年1組の読み聞かせの記録(11)2007年07月11日 12時59分23秒

2年生になってからこのクラスの読書の時間は度々つぶれたんだなあというのが、本のリストからよくわかります。特に2学期は運動会はじめ行事が多いですから。暑さの残る季節に読んだであろう本から1冊おいてもう寒い季節に読む本になってしまっています。

「きつね森の山男」  馬場のぼる 作、 こぐま社

いくさが嫌いで大根が大好きな山男が、キツネ対殿様の戦いに巻き込まれてしまいます。殿様は非常に寒がりで、キツネの毛皮が欲しいのです。
城に連れてこられた山男が、雪の中でも薄着なのを奥方が目に留めます。その秘訣はふろふき大根!

絵本と同じように読み聞かせします。
少し長いお話ですが、お話の展開も面白く、馬場のぼるさんの絵も楽しく、2年生後半ならばちゃんと聞いてくれます。
寒い日に読めば、ふろふき大根が食べたくてしょうがなくなる本であります。