「風と共に去りぬ」岩波文庫 ― 2024年09月10日 20時35分26秒
マーガレット・ミッチェル作「風と共に去りぬ」荒このみ訳を読みました。
岩波文庫を選んだのは、図書館で文庫の棚に並んでいたから。
全6巻。各巻に、たっぷり解説がついています。さすが岩波。
奴隷制について、インディアンについて、そのほか私が南北戦争に
ついて漠然とイメージしていたものとはずいぶん違うんだと
思い知らされました。
時あたかもパリオリンピック、開会式の船のパレード、リベリアの
選手団が映し出され、アナウンサーが国の成り立ちを簡潔に
述べる。解説を読んだばかりの私は、手放しで素晴らしいとは
思えない。リンカーンは奴隷を解放したけれど、黒人と一緒に
やっていく気はなかったみたいで…。
ともかくも、面白く全巻読み通しました。自分がその時代に
入り込んだような気分になり、北部と南部の違いも感じ取れました。
一番印象に残ったのは、主人公スカーレットの母。しっかり者で
優しくて、理想的なお母さま。でも、タラ農園に嫁いできたのは、
自分の実家へのあてつけ。家族に愛する従兄との恋愛を反対され
結局彼は死んでしまう。それで、家柄の全く合わない、しかも
かなり年上の男と結婚してしまう。
結婚後は仲の良い夫婦となったのですが、それでも彼を忘れない。
病気で死の淵にいる時、うなされて呼ぶのは従兄の名。
家族はそれが誰だかわからない。ただ一人、娘時代から付き
従ってきた奴隷のマミーだけは知っていた。
スカーレットが、アシュリーがメラニーと婚約したのを怒って、
あてつけにメラニーの兄さんと結婚するのと重なる所がありますね。
岩波文庫を選んだのは、図書館で文庫の棚に並んでいたから。
全6巻。各巻に、たっぷり解説がついています。さすが岩波。
奴隷制について、インディアンについて、そのほか私が南北戦争に
ついて漠然とイメージしていたものとはずいぶん違うんだと
思い知らされました。
時あたかもパリオリンピック、開会式の船のパレード、リベリアの
選手団が映し出され、アナウンサーが国の成り立ちを簡潔に
述べる。解説を読んだばかりの私は、手放しで素晴らしいとは
思えない。リンカーンは奴隷を解放したけれど、黒人と一緒に
やっていく気はなかったみたいで…。
ともかくも、面白く全巻読み通しました。自分がその時代に
入り込んだような気分になり、北部と南部の違いも感じ取れました。
一番印象に残ったのは、主人公スカーレットの母。しっかり者で
優しくて、理想的なお母さま。でも、タラ農園に嫁いできたのは、
自分の実家へのあてつけ。家族に愛する従兄との恋愛を反対され
結局彼は死んでしまう。それで、家柄の全く合わない、しかも
かなり年上の男と結婚してしまう。
結婚後は仲の良い夫婦となったのですが、それでも彼を忘れない。
病気で死の淵にいる時、うなされて呼ぶのは従兄の名。
家族はそれが誰だかわからない。ただ一人、娘時代から付き
従ってきた奴隷のマミーだけは知っていた。
スカーレットが、アシュリーがメラニーと婚約したのを怒って、
あてつけにメラニーの兄さんと結婚するのと重なる所がありますね。
ルークリース凌辱 ― 2024年05月12日 10時38分24秒
「黒博物館 ゴーストアンドレディ」に出てくるゴーストは、
劇場に取りついていた幽霊だけあって、芝居に精通していて
頻繁にシェイクスピアのセリフを引用します。
その中に、全く知らなかった作品があったので読んでみました。
「ルークリース凌辱」は詩の形をとっています。
ローマ王の息子タークィンが家臣の妻ルークリースを凌辱、
彼女は自ら死を選び、それがきっかけに反乱が起き、
王族は追われる。
図書館で借りたのは、古い世界文学全集の1冊。
もしかしたら、家にあったのと同じものかしら。
父の書斎には、文学全集は日本のも世界のも
揃っていたし、百科事典もその他小説類も
山ほどありました。中学生くらいから、父のいない
時に入り込んで本を抜き出して部屋に持って行って
読んでいたっけ。シェイクスピアの有名どころの
作品は、そうして目を通したはず。司馬遼太郎も
引っ張り出した。井伏鱒二の「山椒魚」も
「さざなみ軍記」も読んだ。大岡昇平の「俘虜記」も
「野火」も「武蔵野夫人」もそうして読んだ。
伊藤整のエッセイもあった。そうそうチャタレイ夫人だって
世界文学全集にちゃんと入っていた。伏字だったかどうかは
おぼえていません。
劇場に取りついていた幽霊だけあって、芝居に精通していて
頻繁にシェイクスピアのセリフを引用します。
その中に、全く知らなかった作品があったので読んでみました。
「ルークリース凌辱」は詩の形をとっています。
ローマ王の息子タークィンが家臣の妻ルークリースを凌辱、
彼女は自ら死を選び、それがきっかけに反乱が起き、
王族は追われる。
図書館で借りたのは、古い世界文学全集の1冊。
もしかしたら、家にあったのと同じものかしら。
父の書斎には、文学全集は日本のも世界のも
揃っていたし、百科事典もその他小説類も
山ほどありました。中学生くらいから、父のいない
時に入り込んで本を抜き出して部屋に持って行って
読んでいたっけ。シェイクスピアの有名どころの
作品は、そうして目を通したはず。司馬遼太郎も
引っ張り出した。井伏鱒二の「山椒魚」も
「さざなみ軍記」も読んだ。大岡昇平の「俘虜記」も
「野火」も「武蔵野夫人」もそうして読んだ。
伊藤整のエッセイもあった。そうそうチャタレイ夫人だって
世界文学全集にちゃんと入っていた。伏字だったかどうかは
おぼえていません。
黒博物館 ゴースト&レディ ― 2024年05月10日 11時47分37秒
「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」が好きすぎて、その関連図書を
読み漁ってきましたが、さすがにメアリー・シェリーの母親の
メアリー・ウルストンクラフトの「女性の権利の擁護」までは
手が出せず、黒博物館の他のシリーズへ移ります。
「黒博物館 スプリンガルド」(全1巻)が第1シリーズ。
1837年からロンドンを騒がせたバネ足ジャックについての
ちょっと不思議な物語。せつない片思いとも言えます。
第2シリーズは「黒博物館 ゴーストアンドレディ」(全2巻)で、
劇団四季で舞台化されるとか。
他の二つのシリーズとは違い、本物の幽霊が出てきます。
劇場に取りついたゴーストと彼に頼みごとをするとあるレディ。
二人(?)は遠くクリミア戦争の現場まで出かけていくことに…
と言ったらレディが誰だかわかっちゃうか。
この話で私がうなったのは、人間はだれしも自分の頭上に
生霊を抱えているという設定です。黒い影のようなのもあれば、
グロテスクなモンスター級のものまでさまざまです。
その生霊は同士が互いに戦ったりする。あまり恨みを持たないタイプの
人間の生霊は弱くって、すぐやられちゃって宿主もダメージを
受ける。私の生霊はどんなかしらんと想像してちょっと楽しいというか
ちょっと恐ろしいというか。
生霊は人間には見えません。でもたまに例外がある。そのレディには
他人の生霊が見えるのです。自分のは見えない。
自らの信じた道を行こうとするレディに、立ちふさがる人びと、
そしてその頭上には恐ろしい生霊が牙をむく。ただでさえ
反対を押し切って進むのは大変なのに、悪意の塊が目に見えれば
フツーの人ならあきらめちゃいますよね。
読み漁ってきましたが、さすがにメアリー・シェリーの母親の
メアリー・ウルストンクラフトの「女性の権利の擁護」までは
手が出せず、黒博物館の他のシリーズへ移ります。
「黒博物館 スプリンガルド」(全1巻)が第1シリーズ。
1837年からロンドンを騒がせたバネ足ジャックについての
ちょっと不思議な物語。せつない片思いとも言えます。
第2シリーズは「黒博物館 ゴーストアンドレディ」(全2巻)で、
劇団四季で舞台化されるとか。
他の二つのシリーズとは違い、本物の幽霊が出てきます。
劇場に取りついたゴーストと彼に頼みごとをするとあるレディ。
二人(?)は遠くクリミア戦争の現場まで出かけていくことに…
と言ったらレディが誰だかわかっちゃうか。
この話で私がうなったのは、人間はだれしも自分の頭上に
生霊を抱えているという設定です。黒い影のようなのもあれば、
グロテスクなモンスター級のものまでさまざまです。
その生霊は同士が互いに戦ったりする。あまり恨みを持たないタイプの
人間の生霊は弱くって、すぐやられちゃって宿主もダメージを
受ける。私の生霊はどんなかしらんと想像してちょっと楽しいというか
ちょっと恐ろしいというか。
生霊は人間には見えません。でもたまに例外がある。そのレディには
他人の生霊が見えるのです。自分のは見えない。
自らの信じた道を行こうとするレディに、立ちふさがる人びと、
そしてその頭上には恐ろしい生霊が牙をむく。ただでさえ
反対を押し切って進むのは大変なのに、悪意の塊が目に見えれば
フツーの人ならあきらめちゃいますよね。
フランケンシュタイン ― 2024年05月01日 16時02分31秒
「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」が好きすぎて、
ポリドリ「吸血鬼ラスヴァン」まで読んでしまいました。
回想シーンで、ディオダティ荘の夜のことが出てきたから。
肝心のメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」も
まだ読んでいなかったので、図書館で借りてちゃんと
読みました。
怪物の名前がフランケンシュタインだと勘違いしている人が
多いと言われていますが、私も子どもの頃はそうでした。
藤子不二雄の「怪物くん」をリアルに連載で読み、テレビアニメを
見ていまして、家来の一人、傷だらけのごつい姿の怪物が
フランケンという名だったもので。
でも、その思い込みは割と早く解かれました。和田慎二の
少女マンガに、この誤解をうまく取り入れて話を展開している
ものがあったからです。それを読んでから、フランケンシュタインは
博士の名前、というのだけ知っていました。
ストーリーを知ったのは、もう10年以上前になるでしょうか、イギリスの
ロイヤル・ナショナル・シアターの映画でした。「フランケンシュタイン」が
ナショナル・シアター・ライブとして日本でも限られた映画館で
上映されたのです。わざわざ上京して見に行ったのは、ベネディクト・
カンバーバッチのファンだったからです!ジョニー・リー・ミラー
とのダブル主演で、博士と怪物の役を交換して演じていました。
カンバーバッチが博士を演じたのも、怪物を演じたのも、もちろん
両方観ました!!どっちが良かったかって?
うーん、カンバーバッチがフランケンシュタイン博士でミラーが怪物
を演じた方のバージョンかな。
そしていよいよメアリー・シェリー作「フランケンシュタイン」、
予備知識がいろいろあったものだから、心して読み始めましたが、
苦しみとか悲しみとかつらさとかが思ったよりものしかかって
来なかったのは、第三者による伝聞という形をとっていたからかも
しれません。それと、演劇においてとてもつらいなと思ったシーンが
原作では違った描き方をされていたのでほっとしたというのも
あるかもしれません。
怪物の求めに応じて、博士が女の怪物を完成させていたら
どうなっていただろう、そんなことを考えてしまいます。
ポリドリ「吸血鬼ラスヴァン」まで読んでしまいました。
回想シーンで、ディオダティ荘の夜のことが出てきたから。
肝心のメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」も
まだ読んでいなかったので、図書館で借りてちゃんと
読みました。
怪物の名前がフランケンシュタインだと勘違いしている人が
多いと言われていますが、私も子どもの頃はそうでした。
藤子不二雄の「怪物くん」をリアルに連載で読み、テレビアニメを
見ていまして、家来の一人、傷だらけのごつい姿の怪物が
フランケンという名だったもので。
でも、その思い込みは割と早く解かれました。和田慎二の
少女マンガに、この誤解をうまく取り入れて話を展開している
ものがあったからです。それを読んでから、フランケンシュタインは
博士の名前、というのだけ知っていました。
ストーリーを知ったのは、もう10年以上前になるでしょうか、イギリスの
ロイヤル・ナショナル・シアターの映画でした。「フランケンシュタイン」が
ナショナル・シアター・ライブとして日本でも限られた映画館で
上映されたのです。わざわざ上京して見に行ったのは、ベネディクト・
カンバーバッチのファンだったからです!ジョニー・リー・ミラー
とのダブル主演で、博士と怪物の役を交換して演じていました。
カンバーバッチが博士を演じたのも、怪物を演じたのも、もちろん
両方観ました!!どっちが良かったかって?
うーん、カンバーバッチがフランケンシュタイン博士でミラーが怪物
を演じた方のバージョンかな。
そしていよいよメアリー・シェリー作「フランケンシュタイン」、
予備知識がいろいろあったものだから、心して読み始めましたが、
苦しみとか悲しみとかつらさとかが思ったよりものしかかって
来なかったのは、第三者による伝聞という形をとっていたからかも
しれません。それと、演劇においてとてもつらいなと思ったシーンが
原作では違った描き方をされていたのでほっとしたというのも
あるかもしれません。
怪物の求めに応じて、博士が女の怪物を完成させていたら
どうなっていただろう、そんなことを考えてしまいます。
黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ ― 2024年04月22日 13時45分17秒
藤田和日郎「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」(全6巻)講談社
ジャンルとしては青年マンガですが、先入観を持たずにいろんな
人に読んでもらって楽しんでもらいたい。
「三日月よ、怪物と踊れ」は「黒博物館」の第3シリーズですが、
各シリーズは独立しているので、これだけ読んで大丈夫です。
舞台はイギリス、時代はビクトリア女王の治世、ロシアから
女ばかりの暗殺者の集団がやってくる。舞踏会の客に紛れて
ターゲットに近づくので阻止しにくい。
近衛兵は上陸直後の暗殺集団と戦い、その一人を崖下に
落とし仕留める。その死体を譲り受けた野心家の貴族は、
その医学と科学の知識で、ちょうど事故に遭った村娘の
頭部を移植して、暗殺者を生き返らせてしまう。
剣の腕だけは一流のまま何もわからない彼女を利用しよう
という企みが動き出す。女王の舞踏会で護衛として使おうというのだ。
そのためには、言葉遣い、振る舞い、ダンスを教育しなければ
ならない。全身包帯だらけ、顔も傷だらけの彼女の
教育係を引き受けたのは、メアリー・シェリー!
フランケンシュタインの作者で、息子の学費を工面するのに
困っている彼女なら引き受けるだろうと白羽の矢が立ったのであった。
メアリーは「怪物」とどう接するのか、暗殺は阻止できるのか?!
昨年の10月に6巻目が出た作品です。私は今年になって
試しに1巻だけ買って、読んですぐまた本屋へ行く羽目になりました。
初めから全巻購入すればよかった。
ジャンルとしては青年マンガですが、先入観を持たずにいろんな
人に読んでもらって楽しんでもらいたい。
「三日月よ、怪物と踊れ」は「黒博物館」の第3シリーズですが、
各シリーズは独立しているので、これだけ読んで大丈夫です。
舞台はイギリス、時代はビクトリア女王の治世、ロシアから
女ばかりの暗殺者の集団がやってくる。舞踏会の客に紛れて
ターゲットに近づくので阻止しにくい。
近衛兵は上陸直後の暗殺集団と戦い、その一人を崖下に
落とし仕留める。その死体を譲り受けた野心家の貴族は、
その医学と科学の知識で、ちょうど事故に遭った村娘の
頭部を移植して、暗殺者を生き返らせてしまう。
剣の腕だけは一流のまま何もわからない彼女を利用しよう
という企みが動き出す。女王の舞踏会で護衛として使おうというのだ。
そのためには、言葉遣い、振る舞い、ダンスを教育しなければ
ならない。全身包帯だらけ、顔も傷だらけの彼女の
教育係を引き受けたのは、メアリー・シェリー!
フランケンシュタインの作者で、息子の学費を工面するのに
困っている彼女なら引き受けるだろうと白羽の矢が立ったのであった。
メアリーは「怪物」とどう接するのか、暗殺は阻止できるのか?!
昨年の10月に6巻目が出た作品です。私は今年になって
試しに1巻だけ買って、読んですぐまた本屋へ行く羽目になりました。
初めから全巻購入すればよかった。
北海道の読書環境 ― 2024年01月27日 14時26分23秒
北海道の読書環境は全国的に見てワーストクラス、
というのはここのサイトで知りました。一般社団法人
北海道ブックシェアリングのホームページです。
https://booksharing.wixsite.com/bookshare
北海道が面積が広いという事も一因とか、いろいろ
ありますが、考えさせられてしまいます。
少しでも環境を良くしようと活動されています。
本の寄付も募っているので、興味のある方は見てください。
というのはここのサイトで知りました。一般社団法人
北海道ブックシェアリングのホームページです。
https://booksharing.wixsite.com/bookshare
北海道が面積が広いという事も一因とか、いろいろ
ありますが、考えさせられてしまいます。
少しでも環境を良くしようと活動されています。
本の寄付も募っているので、興味のある方は見てください。
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