ある1年1組の読み聞かせの記録(13)2007年03月17日 13時30分38秒

次は私の大好きな絵本です。

「どろんこハリー」 ジーン・ジオン 文、 マーガレット・ブロイ・グレアム絵、福音館書店
「きょうりゅうのかいかた」 くさの だいすけ 文、やぶうち まさゆき 絵、岩波書店

読み聞かせを何年も続けていても、完璧に暗記していて本を見ずにできるものは限られています。「どろんこハリー」はその数少ない1冊。
黒いぶちのある白い犬のハリーはお風呂が大嫌い。お湯を入れる音が聞こえてきたので、ブラシを隠して外へ逃げ出します。外で散々遊んだので、まるで白いぶちのある黒い犬のようになってしまいました。そうしたら、お家の人達に自分がハリーだとわかってもらえません。そこで一大決心、自らお風呂場へ!
外で遊びまわる場面も楽しく、あれほど嫌がっていたお風呂に入ろうとするプロセスも愉快で、とっても良くできた絵本です。唯一つ私にとって困るのは、犬の芸で「ちんちん」という言葉が出てくる箇所。これが言い難い私って、純情なんでしょうか。

「きょうりゅうのかいかた」は、動物好きな兄妹が実践する、本当に飼い方のハウツー絵本なんですよ(笑)。
虫や金魚などではなくて、犬かウサギのような「大きい動物」を飼わせてって頼んでいたら、ある日お父さんが恐竜の子どもをもらってきてくれました。
聴いている方は一瞬驚きますが、次のページからはもうすんなり絵本の世界に入り込んでしまいます。どれくらいの大きさの小屋を建てたらいいか、餌は何をどれくらいか、糞の始末はどうするか、注意する点は?明日からすぐに恐竜を飼いたくなってしまいます。
できれば一番最後のページの登録カードの文字も全部読んでやって、それからゆっくりと本を閉じてください。

ある1年1組の読み聞かせの記録(14)2007年03月18日 14時56分01秒

次は1冊だけ書名があがっています。短時間で終わる絵本なので、きっとこれを読んでから本の貸し出しの説明をしたのじゃないかと推測されます。個人カード配って、一通り説明して、実際に借りてみるのだけれど、書名を決められた欄に書く、ただそれだけの事がもう人生における一大イベントという子もいて、1年の担任の先生には頭が下がります。

「きんぎょが にげた」  五味太郎 作  福音館書店

金魚鉢から飛び出したキンギョを探す、絵探し絵本です。カーテンの模様だったり、苺になったり、テレビの中だったり。
途中の展開で省略されている所があって1箇所だけちょっと私は引っかかるですけれど、気にせずどんどん楽しみましょう。最後に池の中、たくさんいる金魚の中から見つけ出すのは、結構難しい!見つけた子は、違いの説明しながら鼻高々。

ある1年1組の読み聞かせの記録(15)2007年03月19日 15時14分49秒

次に進みます。

「ごちゃまぜカメレオン」 エリック・カール 作、 ほるぷ出版
「そらいろのたね」 中川李枝子 文、大村百合子 絵、 福音館書店

「ごちゃまぜカメレオン」は、動物園を眺めながら、自分があんな動物だったら、こんな動物だったらと想像します。想像するたびに、その動物の特徴ある足やら羽やら鼻やらがくっついて行き、カメレオンは遂にとんでもない姿になります。増殖する部分品に子ども達は大喜びですし、気がつく子はページの端のちょっとした仕掛けにまでまで注目します。

キツネはゆうじの模型飛行機が欲しくって、「そらいろのたね」と交換させます。ゆうじが蒔いてみると、なんと空色の小さな家がはえてきました。お家はどんどん大きくなり、お友だちや動物達と中で楽しく遊べます。キツネはそれを見ると急に惜しくなって、飛行機を返すから家を返せと言い出します。みんなを追い出して家を独り占めにしたキツネはさて…。
家にたくさんの仲間がやってくるページでは、ぐりとぐら等おなじみのキャラクターがさりげなく描かれています。教えてあげてもいいし、気がついて叫ぶ子がいたりもします。私は、さりげなく指先がぐりとぐらの真下に来るように持ち直すだけにしてました。

ある1年1組の読み聞かせの記録(16)2007年03月20日 15時45分41秒

夏休みの前なのか直後なのかは書いてないのですが、今回と次回はまだ暑い時期だというのが選んだ本でわかります。

「ありんこぐんだん わはははははは」 武田美穂 作、理論社
「うみべのハリー」 ジーン・ジオン文、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、福音館書店

「ありんこぐんだんわはははははは」は、「は」が六つです。武田美穂さんの絵は、無条件に子ども達を惹きつけるので重宝します。おやつを食べる時ちょとでもこぼすと蟻の軍団がかぎつけてやってくるぞと脅かす楽しい絵本で、宇宙空間までやってくる蟻のバイタリティーにはびっくりです。これじゃお菓子やお砂糖をうっかりこぼせません。

「うみべのハリー」は、前に読んだ「どろんこハリー」の続編です。二番煎じな所があるため個人的にはあんまり好きじゃないんですが、暑い時期にはつい読んでしまいます。冬になると読む「ハリーのセーター」の方が好きです(ずっと後でこちらにも触れます)。
海水浴場で海藻をすっぽりかぶってしまったハリー、オバケだと思われて大騒動。犬だとわかってもらえるのでしょうか、家の人たちに自分だとわかってもらえるのでしょうか。

ある1年1組の読み聞かせの記録(17)2007年03月21日 14時44分30秒

3冊読んでます。

「かようびのよる」 デヴィッド・ウィーズナー 作、 徳間書店
「ありとすいか」 たむらしげる 作、ポプラ社
「ぐるんぱのようちえん」 西内みなみ 文、 堀内誠一 絵、福音館書店

大人の中には、なにこの本と言う人もいるかもしれない「かようびのよる」ですが、まああまり考えずに読み聞かせに使ってみてください。文章はたった4行しかありません。1ページめくるごとにゆっくり本を左右に振って全部の子ども達に良く見えるようにしてやってください。黙ったままページを開いていくのって、慣れないと恥ずかしいかもしれませんが。リアルな蛙の絵、それがなぜか飛ぶ、突き詰めたらついていけないので、映画の1シーンを見ているようだ等と面白がって下さい。私は好きな絵本です。

がらっと変わって「ありとすいか」は、かわいらしい絵で展開していきます。一切れのスイカ見つけた蟻たちは、巣に運ぼうとします。蟻にすれば巨大な建物のようなスイカを小さくして運びおろす作業風景や、巣の中の各部屋の様子が楽しく描かれています。残った皮だって無駄にしません。

「ぐるんぱのようちえん」は、以前テレビドラマで使われた頃にはよく読み聞かせのお母さん達が選んでいたので私は避けてたのですが、それほど頻繁ではなくなったのでまだラインナップに入れてみました。
いつ読んでも、最後にとても幸せな気分になれます。象のぐるんぱが、あちこちのお店に弟子入りして失敗して、作りそこなった製品を持たされて追い出されても、最後にとうとうぴったりの仕事に出会える。お母さんにも子どもにも喜んでもらえて、出来損ないの製品もちゃんと役立つし、なにより巨大ビスケットが美味しそうで食べたい!
ぐるんぱがお店を追い出されるたびに、「しょんぼり」という単語が増えていきます。数を間違えずに読むには、文ではなくて絵のほうを見て、ぐるんぱの持っている出来損ないを目で追いながら「しょんぼり」を重ねていくと良いですよ。

ある1年1組の読み聞かせの記録(18)2007年03月22日 13時58分24秒

秋です。そして1冊しか読んでないのは、おそらく前の時間が運動会の練習で、図書の時間が少なくなってしまったからだろうと推測されます。

「おおきなおおきなおいも」 市村久子 原案、赤羽末吉 作・絵 福音館書店

毎年読むのを楽しみにしている絵本です。
芋掘り遠足が雨で延期になってしまいます。その分お芋は土の中で大きくなって待っててくれると先生に慰められた園児達は、どれくらい大きいのか紙に描いてみることにしました。紙を何枚もはりあわせて、色を塗ってできあがったお芋の絵、本当に大きくてページをめくるのが楽しくなります。「まだ まだ」!
そのお芋をどうやって運ぶか、どうやってお料理するか、考えているうちに想像だって事を忘れてしまいます。読み手も、聞き手も、心が宇宙まで飛んでいってしまいます。