ある1年1組の読み聞かせの記録(7)2007年03月11日 16時54分10秒

昨日予告したとおり、「ぶたぬきくん」シリーズについてです。

「ぶたぬきくんもりへいく」(斉藤洋 文、森田みちよ 絵、佼成出版社)以下
「ぶたぬきくんまちへいく」
「ぶたぬきくんうみへいく」
「ぶたぬきくんしまへいく」
「ぶたぬきくんほっきょくへいく」
「ぶたぬきくんおまわりさんになっちゃった」

となっています。もっと出ないかなあ。タヌキに弟子入りして化け方を教わったブタが主人公なので「ぶたぬきくん」なのです。ところが、完全にマスターできなくて、いつも一部分がブタのままの変身なのですが、これがまた愛嬌たっぷりでもうおかしくておかしくて。
そもそもの始まりは、単行本の「ぶたぬきくん」(著者等同じ)で、豚小屋に紛れ込んで餌を食べている怪しいブタをつけてみたらタヌキさんで、一緒に暮らして化け方を教わってというお話です。これを絵本化したのが「ぶたぬきくんもりへいく」です。
ですから、「ぶたぬきくんもりへいく」は、絵本としては文章が多い部類に入ります。それなので、私が読み聞かせに使う場合は「もり」以外を選ぶことが多かった。でも、どの本も最初に「ぶたぬきくん」の簡単な説明があり、その妙な変身後の姿も描かれていますから、何の問題もなく読み聞かせに入っていけます。
楽しいし、シリーズ全部読もうという気にさせてくれる、お奨めの絵本です。

ある1年1組の読み聞かせの記録(8)2007年03月12日 17時16分52秒

次いきます。

「わにさんどきっ はいしゃさんどきっ」 五味太郎 作、偕成社
「いそがしいよる」   さとう わきこ 作、 福音館書店

虫歯になったワニさん、おっかなびっくり歯科医院へ行きます。誰だって虫歯の治療はいやですよね。一方歯医者さんのほうは、怖そうな鰐が来たんですからそりゃ驚きます。それで「わにさんどきっ はいしゃさんどきっ」なのです。そして治療が進むのですが、立場の違うワニさんと歯医者さんのせりふが全場面で同じです。そこがとってもよくできていて、面白くて笑っちゃいます。読み聞かせるのが楽しみな1冊です。
このクラスではないのですが、過去に一度だけ話についていけない子がいた時がありました。ぼっとして出だしを聞いていなかったのか、本当に理解できなかったのか定かではありませんが、周りの子がどっと笑うたびに見回して「何が面白いの?どこがおもしろいの?」と叫んでいました。読み聞かせのリズムを壊したくなくて、中断せずに読み終えてしまいましたが、今思うと「じゃ特別に最初からもう一回読むからねー」なんて言って対応してやれば良かったかと。後悔はいつも後からやって来ます(だから後悔なんだけど)。

ところで、人気シリーズ、ばばばあちゃんの第1作目が何かご存知でしょうか。それが「いそがしいよる」です。星空があまりにも綺麗なので、外で寝ようとベッドを持ち出したばばばあちゃん、お茶が飲みたくなるかもしれないとか、お腹がすくと大変とか、次々に必要な物を考え出してしまいます。星を見るという最初の目的はどこへやら、オチはどうなるかご想像がつきますでしょうか。
家財道具が羅列してあるページは、なるべく息継ぎせず、是非一気に読んでもらいたいものです。

ある1年1組の読み聞かせの記録(9)2007年03月13日 15時54分30秒

メモを見返して思うこと:この時は今までの読み聞かせをあまり楽しんでいなかった子たち向けに考えたに違いない、そんな本選びになっています。

「虫のかくれんぼ」 海野和男 作  福音館書店
「おなら」  長新太 作  福音館書店

「虫のかくれんぼ」は、写真の中から擬態した虫を探し出す、いわば参加型の絵本です。ですから、人数が多い時には本当は不向きなのです。後ろの子は良く見えないし、最前列の子しか虫を指差せないので不公平感が高まります。騒ぎになることもあるし。
でも、読み聞かせなんてつまんない、本なんて興味ないと思ってたいた子に、こんな絵本もあるんだと目を見開かせることができます。「読み聞かせなんて興味ない」といつも一番後ろに座る子には、しまった前に行けばよかったと後悔させる一冊。
本当は、人数の少ない、ひざ突き合わせての読み聞かせでわいわい指差しながらが良いと思います。最後に載っている虫の名前もちゃんと読んであげられるし。

「おなら」はまず表紙はシンプル。そして扉では大きな象のおならの音でタイトルがページの隅に追いやられています。かがくのとも傑作集なので、理論的に正しいことがずっと書いてはありますが、なんといっても「おなら」の絵本ですから楽しさ大放出。人が一日に出すおならの量は約500ミリリットル、へー。
いつもの読み聞かせについていけなくて、僕はなぜここにいるんだろうという顔をしていた子も、この本にはしっかり食いついてきます。毎日の生活において、一番身近でかつ一番大切なことを取り上げているのですから。読み終わると、「その本貸して」ってそれまでにない反応。小学生になったとはいえ、まだお話の面白さなどはわからない子もいます。時には、簡単な絵本も混ぜてやるのも大切でしょう。他にも、うんち、おしっこ系の絵本はたくさんありますし、大事な事柄ですから、下の話なんてって思わないでどんどん読みましょう。それでは、さようおなら。

ある1年1組の読み聞かせの記録(10)2007年03月14日 16時48分12秒

読んでいる自分もゆったりとした気分になれる、そんな絵本もあります。

「ルラルさんのにわ」  いとうひろし 作  ポプラ社
「ネコとクラリネットふき」  岡田淳 作  クレヨンハウス

「ルラルさんのにわ」
綺麗な芝生が一面に生えたお庭は、ルラルさんの自慢です。大切な庭に動物が入り込もうとすると、パチンコで撃退してしまいます。ある日、庭に丸太が置いてあるので近づいてみるとなんとそれはワニ!しかも、芝生に寝てみると気持ち良いよと言うではありませんか。怒らすと怖いので言われた通りしてみると、本当に気持ちがいい!!で、それからのルラルさんの庭はね…。
私もルラルさんの庭で一緒に寝そべりたいですなあ。

「ネコとクラリネットふき」
ぼくが家に帰ってくると一匹のネコがいました。餌をやっても食べないのに、クラリネットの音が好きで、聴かせているとだんだん大きくなっていきます。留守の間は録音されたクラリネットの音を聴いているほどでしたから、ドアから出られないくらい、遂には家が壊れるほど大きくなってしまいました。そんなネコとぼくは旅に出ます。クラリネットをみなんなに聴いてもらいながらのゆったりとした旅はとても羨ましい。
でっかいネコのふわふわのお腹の上で寝てみたいものです。

「二分間の冒険」などでおなじみの岡田淳さんの絵本は、意外と知らない人も多いので、是非一度読んでみてくださいね。

ある1年1組の読み聞かせの記録(11)2007年03月15日 09時11分33秒

暑くなってきました。日付は記入してありませんが、選んだ本から季節がわかります。

「みずまき」  木葉井悦子 作、 講談社
「かもさん おとおり」  ロバート・マックロスキー 作、
              わたなべしげお 訳、福音館書店

「みずまき」は、夏の読み聞かせの必需品。木葉井さんの絵はもちろん、なむじゃぶなむじゃぶ等の擬音語も、繰り返しの文も、小動物から見た世界観も、涼やかな読後感も、全部まとめて褒めてしまいます。私がなんだかんだ言うより、とにかく一度読んでみてください。図書館にはたいていあると思います。

少し長めの絵本なので、短時間で終わる本とよく組み合わせるのがこの「かもさんおとおり」です。この1冊だけにすることもあります。
カモの夫婦が卵を産む場所を探し、コガモが成長すると子育てするために公園の池目指して街中を歩いて移動します。よく都心で道路を渡るカルガモがトップニュースになったりしますが、もっと長い距離を歩かないと行き着けません。仲良しになったおまわりさんが車を止めてくれて、パトカーまで手配してくれちゃいます。
表紙だけだとわかりませんが、開いてみるとマックロスキーの暖かみのある絵に嬉しくなります。

ある1年1組の読み聞かせの記録(12)2007年03月16日 14時37分17秒

前回読んだ本から、もう初夏になっていることはわかります。そろそろ1年生にも貸し出しを始める時期ですが、メモには何も書いておかなかったので全然わかりません。いつも通り2冊の読み聞かせをしているので、まだ貸し出ししてないかも。

「あおくんときいろちゃん」 レオ・レオニ 作  至光社
「へびのクリクター」  トミー・ウンゲラー 作   文化出版局

「あおくんときいろちゃん」を見るたびに、レオニの発想の柔軟さにため息がでます。あおくんです、きいろちゃんです、それだけで子どもの心を掴んでしまいますし、仲良しの二人が重なって緑になっちゃうのも、親にわかってもらえないのも、元への戻り方もいいですね。

「へびのクリクター」のウンゲラーは、アンゲラー等と表記されることもあります。「すてきな三にんぐみ」等の作者です。
ヘビが主人公の絵本ってあまりないですよね。擬人化された絵本は少しはありますが、ヘビがヘビのままで活躍し、しかもちょっと皮肉もや毒も含んだ絵本になっているのはウンゲラーならではです。
ボドさんは、誕生日に息子からボア・コンストリクターというヘビを贈られ(毒はありません!)、クリクターと名づけてかわいがります。二人(一人と一匹)の日常生活も面白く、また最後にクリクターがしっかり活躍して終わるので子ども達も喜んでくれます。